加島乃理子さん
「海と山のあいだで」

加島乃理子 / Kashima Noriko
  • 10 books / vol.003
  • 2015.5.22


送られる人:
加島乃理子 / Kashima Noriko
LE CAMBON代表。
鎌倉在住。


送る人:
松田 拓巳 / Takumi Matsuda
North Lake Books主宰。
我孫子在住。

今回の送る10冊は鎌倉在住の加島乃理子さんにお送りします。
1990年代より鎌倉は長谷、由比ヶ浜近くにあるアクセサリーショップLE CAMBON(ル・カンボン)を経営されている乃理子さん。親しくさせていただくようになったのは、私たち夫婦の結婚指輪のサイズを直してもらいたく、お店を訪ねたことがきっかけです。 それからは鎌倉に遊びに行くたびにお店を訪ねるようになりました。(というか、乃理子さんに会いに行ったついでに鎌倉散策している感じ。)年に1回お会いするかどうかの間柄なのですが、仲良くさせていただいています。

いつだったかは、ごっそり盗難にあった直後にお邪魔してしまったのですが、落ち込む様子も憤慨している様子もなく、いつも通り笑顔で迎えてくださいました。しかも泥棒を憐れんでいる乃理子さん、なんだか大きくて愛ある人だ、と思いました。 すっかりファンになった私達夫婦は密かに、ハワイ渡航歴20数回という乃理子さんと、いつの日かオアフのどこかのバーで合流して、飲めたら楽しいね!という妄想をし始めました。 その後お店を始めてしまった私達なので、軌道に乗るまではお預けの話なのですが、いつか実現したいです。(後日談、乃理子さん、お酒まったく飲めないということが判明しました、、、、、、)

海と山にはさまれた絶好のロケーションにあるお店は、数年前に改装をし、ドッグサロンを併設しました。アメリカで修行してきたトリマーの姪っ子さんと二人三脚の日々を送られています。 毎朝、愛犬達と由比ガ浜をお散歩することが、極上の時間と乃理子さん。愛する鎌倉で「ケセラセラ〜」と今日も元気にお店を営業してることでしょう!

1 C.W.ニコルの「人生は犬で決まる」

C.W.ニコルの人生は犬で決まる
  • C.W.ニコル
  • 鈴木龍一郎 写真
  • 竹内和世 訳

ニコル家にやってきた穴掘りと脱走が得意で好色家の「モーガス」と英国貴婦人の「メガン」、二匹のアイリッシュセッターのお話。そして黒姫山の麓に居を構えたニコル家のお話でもある。鈴木龍一郎さんの写真もいい。

2 冬の犬

冬の犬
  • アリステア・マクラウド
  • 中野恵津子 訳

家畜用コリー犬の名前は最後まで出てこなかった。「家畜用」としては「いない方がまし」と言われた「美しく格好がよく力持ちの犬」は流氷の縫い目に落ちた「私」を引きづり出し命を救う。しかしその2年後、近隣の子供二人を噛み、、、。カナダ東端の厳冬の島が舞台の短編集より。

3 犬の人生

犬の人生
  • マーク・ストランド
  • 村上春樹訳

ベッドに横になったパートナーから「実を言うとね、自分は以前は犬だったんだ」と告白されたら、、、しかも「幸せな生活だった」と言われたら、、、

4 栗の樹

栗の樹
  • 小林秀雄

佐助、雪ノ下、扇ヶ谷など、何度か移転するが鎌倉を永住の地とした小林秀雄。お墓も東慶寺に。この「栗の樹」に収められた「DDT」にはレイチェル・カーソンの「沈黙の春」を読み、鎌倉の自然の沈黙に憂慮している文章が見受けられる。 多くの執筆をした「山の上の家」は近代美術館鎌倉別館あたりの路地を上っていったあたりらしい。

5 山の音

山の音
  • 川端康成

戦後文学の中でも評価の高い名作「山の音」。現在も川端康成記念館隣に表札がかかっている長谷の家で執筆されたらしい。最期も逗子マリーナでした。

6 俳優になろうか

俳優になろうか
  • 笠智衆

川端康成、小津安二郎が通ったという鎌倉は若宮大路のうなぎの浅羽屋には俳優・笠智衆の姿もあったという。副題が「私の履歴書」というように自伝である。小津安二郎の演技に対する細かな指示に、自由に演技できないジレンマがあったなど興味深いエピソードを交え淡々とつづられている。

7 海のふた

海のふた
  • よしもとばなな

浜辺から街に向かう長い道の途中、かき氷屋をひらくことになった主人公。作者の心のふるさと土肥が舞台。初期のTSUGUMIとともに西伊豆のどこか懐かしく、爽やかな潮風を感じる作品。版画家・名嘉睦稔さんの挿画も郷愁をよび心地よい。

8 カイマナヒラの家

カイマナヒラの家
  • 池澤夏樹
  • 写真・芝田満之

カイマナヒラとはオアフのダイヤモンド・ヘッドのことらしい。その麓の家でのサーフィンを愛する人々の共同生活。家以外はフィクションだそうだ。芝田満之さんの写真も旅情を掻き立てる。

9 あるいは酒でいっぱいの海

あるいは酒でいっぱいの海
  • 筒井康隆

放課後に実験室で偶然できてしまった薬品を主人公の父が持ち出し、誤って海にこぼしてしまう。すると化学反応を起こした海は酒になってしまう、、、というお話。作者、初期の短編。

10 ピスタチオ

ピスタチオ
  • 梨木香歩

風と水、生と死。色々な出来事が繋がり始め、大きな流れに。覚悟を決めて流れに乗り、降り立った先は。ただの偶然なのか、導かれたものなのか。

Takumi Matsuda

3回目にして初めて女性宛の10冊でした。いかがでしたでしょうか?大きな流れに身をまかせる覚悟をし、自然豊かで文士たちも愛した鎌倉の地でアクセサリーショップの経営者となり、大好きな家族や愛犬たちと仲良く、時には助け合いながら生活している彼女のライフスタイルはとてもシンプルで美しく感じます。
「無人島に持っていく1冊は?」の問いには、「聖書」を選んだ乃理子さん。慈愛の精神はここからきているのかもしれません。(前回ご登場のHideki Abeさんも聖書でした!)

お店のホームページはこちらです。
LE CAMBON:www.lecambon.com

初夏には紫陽花を愛でたり、盛夏には海水浴と湘南方面に行かれる機会があるかと思います。ぜひ、乃理子さんのお店に立ち寄ってみてください。

最後に、取材時に小さな声で「花婿募集中って入れといて!」と言われましたので、約束通りに。

松田 拓巳 / North Lake Books