ノースレイクの冬の99冊

1. 大野邦彦(66歳)

無職のヒップじじい

「詩集 絹半纏」百瀬博教 -1

私は中学・高校は市川学園のすもう部でした。すもう部の大先輩であった百瀬大兄は当時男子校であった私たちに男の生き方、考え方、行動の取り方、お詫びの仕方、身の皮し方など教えていただいた。この本の内容は、粗野に見えて純粋で、律儀な男。文化とは無縁に見えて読書や音楽が好きで、味な詩まで書く魅惑の人。私は今でもリスペクトしています。押忍!

「妙なる畑に立ちて」川口由一 -2
二年前、定年退職後、自分は何をしたいのか、どうやって残りの人生を生きれば良いのか、人は何のために生きているのか、というような答えをさがすような本をいろいろ探して読んでいましたが、「妙なる畑に立ちて」この本を見つけて「自分が探していたのはこれだったんだ」という感動を覚えたんです。自然の中で暮らしながら自分の食べるものを自分で作りたい、自然農で自分の暮らしが変わることでいつか社会がよくなるという気持ちが強くなる本です。(いのちあるものは田畑に生かされていることに気づいた、ここでしっかり生きて行こう)

「春夏秋冬 いのちを語る」山尾三省
 -3
私もだんだん年をとって来て、死についていろいろ考えます。人が亡くなっていくときにその人にどういうふうにそれを教えればいいのか、そしてその人の気持ちはどうすれば、より楽に死を迎えられるのか?→「自分の還る場所を教えてあげればいい」「自分の死んでいったときに還る場所を教えてあげればその人はそこに還るんだ。そして自分が去っても残された人たちがそこを見たり感じることによってその人の気持ちが安らぐ」ということを考えていただく。これからは私自身の還る場所さがしの「たび」が始まります。

聖老人(山尾三省)
聖老人
/あなたが黙して語らぬ故に
/わたしはあなたの森に住む/罪知らぬひとりの百姓になって/鈴振りあなたを/
讚える歌をうたう
 これを読んで山尾三省の本を全部読みたくなりました。

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何年か前にご来店くださりBEATNIK系の本をたくさんお買い上げいただき、しばらくぶりにご来店くださったときには山尾三省の本たちをお求めに!風貌も独特なオーラを放ち、インターネットもやらないという、ヒップなお方です(拓)

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2. 田中敏惠
編集者、ディレクター
ttanakatoshie.com

ここではないどこかへ連れて行ってくれる、という意味で読書はよく旅とたとえられますが、個人的にも本好き読書好き≒旅好きな気がします。つい出不精になってしまう寒い日々は、暖かな部屋で脳内旅行も悪くない。そんな気分にさせてくれる旅する本を選びました。

「一万年の旅路」ポーラ・アンダーウッド -4
ネイティブ・アメリカンのイリコイ族に、代々口承で受け継がれてきた、アジアからアメリカ大陸への移動の物語。その物語を継承者である女性が次世代へ受け継ぐために英訳出版を決断。これはその日本語版です。スピーディなレスポンスが求められる現代に、一万年におよぶ旅(実はその前の驚愕エピソードもあったりします)に想いを寄せることのなんと贅沢なことか!

「晴れたら空に骨まいて」川内有緒 -5
世界中の海に、ヒマラヤの山に、インドの川に……愛する人たちの遺骨をタイトル通り散骨した人たちのノンフィクションストーリー。散骨のノンフィクションというと、悲しみに包まれた一冊のように思われるかもしれませんが、読後に残るのは人生への肯定です。またすべてに旅が関わっていて、それが人生とは長い旅なんだなぁと実感させてくれます。

「アンジュと頭獅王」吉田修一 -6
あの「山椒大夫」の吉田修一による現代版。若狭から東海道だけでなく、中世から現代へと時空を超えた物語です。実はこれ、パークハイアット東京の25周年を記念して執筆を企画&依頼をしたのですが、最初いただいた原稿を一度ボツにして再度上がってきたものです。七五調の文体といい、まさかの古典といい、初読での衝撃は忘れることができません。心をぐーーーんとワープさせてくれる超意欲作です。

ジャーナリストの進化系をモットーに、編集のスキルをエディトリアルはもちろん、伝統工芸、地方自治体、レストランなど多様なジャンルで活かす活動をしています。伊那市ミドリナ委員会顧問、INUAアドバイザー。
著書「ブータン王室は、なぜこんなに愛されるのか」、共著「未踏 あら輝」、編著「旅する舌ごころ」、「恋する建築」、「南砺」、企画&編集協力「アンジュと頭獅王」など。

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前回の99冊に選書していただいたスタイリストの先輩のおかげで、こちらの存在に気付いていただき、お願いすることに。プロのジャーナリストの方にお願いするのは本当に恐縮したのですが、偶然にも同郷のご縁ということもあり、エイヤーと連絡させていただきました!(拓)

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3. 杉村有子
sonorité オーナー
https://sonorite.exblog.jp

「THE WORLD OF DONALD EVANS」WILLY EISENHART -7
夭折の画家ドナルド エヴァンスが架空の国々の切手を水彩で描き主題、年代別にシートとして分類したものが収められています。切手好きの心をくすぐる一冊。

「じつは、わたくし こういうものです」クラフト・エヴィング商會 -8
あるようで存在しない不思議な仕事に携わる人々への「架空のインタビュー集」雑誌太陽に連載されていたシリーズです。「シチュー当番」にわたしは憧れます。

「倚りかからず」茨木のり子 -9
潔く、けれど優しい。クスッと笑える。時々開いては読み返しています。

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11月のポップアップショップでひと月ご一緒し、たくさんお話しさせていただきすっかり仲良しに!長年、雑貨屋さんをやり続けてこられた先輩を見習い、ぶれずにやっていきたいと思いました。(拓)

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4. Buttons Ink
アーティスト
白井市出身、AustraliaはBrisbaneを拠点に活動中。
facebook.com/buttonsinkart
Instagram.com/buttonsink

「本を読むのが苦手な僕はこんなふうに本を読んできた」横尾 忠則 -10
私自身、横尾さんが好きだからというのもあるが(実際にこの方の言葉に背中を押されて制作活動を続けている)、興味のある人やテーマの本はスラスラ読んでしまうのに他は眠くなってしまうタイプなので、まずこの意表をついたタイトルに惹かれた。本書の帯にあるように仕事と人生のヒントが横尾さんの視点で見せてもらえる一冊。あとがきにクスッとさせられながらも、本との繋がりの不思議さを思わせてくれる。

「90年代の若者たち」島田 潤一郎 -11
タイトルドンピシャ世代なのもあって一気に読んでしまった!その時代の空気を蘇らせ包み込んでもらったような幸せな感覚。繊細なタッチで捉えられた著者の心の動きに温かさを感じた。それにしてもどうしてこんなに当時の事を細かに一つ一つ覚えてるんでしょう。いいなー羨ましい〜〜

「世界音痴」穂村 弘 -12
こちらの本を読んだ後数年たっていますが、今でも残っているのは「そのままでいい」「自分の思うことはそれでいい」という肯定の感情。軽快で心地よくてとっても好きな一冊。

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ミュージシャン小林徹也さんの動画のなかで使われていたButtons Inkさんのイラストに一目惚れした翌週に打ち合わせをして、突然の申し出に快く応じてくださり、夏に個展を開催させていただきました。かわいいけど少しシニカルな世界観がたまりません。(拓)

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5. TOSHI FUJITA
カリフォルニア州在住、ファッション業界にて日米関係者の方々の橋渡し的なお仕事をさせていただいております。

「旅をする木」星野 道夫 -13
この本は、知人からいただきました。著者である星野氏について、彼が不慮の事故で亡くなった、という程度のことは報道で知っていましたが、実際どのような人であったのか、この本に出合うまで未知でした。解説で池澤夏樹氏が述べている言葉に、この本の意味が凝縮されています。「書物というものの最高の機能は幸福感を与えることだ。幸福になるということは人生の目的のはずなのに、実は幸福がどういうものか知らない人は多い。」本書に鏤めらている星野氏のまっすぐな言葉から、彼の体験を通じ、ぼくの中のそれと反応し蒸留された幸福感を共有することができた、ように、感じました。「オオカミ」から “神聖“の理を想いだせてもらい、「旅をする木」で肉体と時間を超越した霊性の存在、に心深く安堵させてもらえました。この本をいただいた知人は、法化専門で、職業柄堅いのだろうと思い込んでいたぼくに、最初の数ページをめくったころには、まるでその対岸に居る人であったのだ!と心地よい驚きを、今でも鮮明に思い出します。「旅をする木」は、ぼくに新しい友人までプレゼントしてくれました。これも書物の大切な機能なのですよ、といつか池澤氏にお伝えしたくなりました笑。厳冬のアラスカから。星野氏の霊性とともに心から温まって下さい。

「人生の作法」西部 邁 -14
西部氏が数年前、入水自死(氏は、自殺ではなく、自死である、と生前から述べておられました)をされた報道は皆さまのご記憶に新しいと思います。ぼくが、氏の存在を知ったのは、とある風刺漫画の中で氏の登場があり、その発言に興味が湧いたことからでした。本屋に行き、タイトルにある「作法」が気に入り、そのまま購入。論理的で道徳的な、氏が紡ぐ言葉は一貫して激しいのですが、その中にとても深い慈愛と一般常識(何の尺度をもって一般というのか、も本書では述べられています)に満ちています。この本は読後、当時十代だった甥にギフトしたので今手元にはありませんが、はっきり覚えている下りがあります。氏が多忙な仕事のせいで疎遠になりがちなご子息との関係性に触れたもので、ある日出掛けた折電車で二人座席に腰かけていた、無言のうちに時間が過ぎ、途中駅でお年寄りが乗車してきたと思いきや、息子は何の躊躇も、親の反応を気にする素振りも一切見せず、すっくと立ちあがりご老人に席を譲った、、この一瞬の息子の所作から、彼がこれまでどのような生き方をしてきたのか、が圧倒的に伝わってきて、ああこの子は何とか生きて行けるであろう、と氏は感じた。ぼくには、三人の子供がいますが、この情景で氏が述べた所感がまっすぐ心の中に入ってきました。ぼくが幼少時には、小学校に「道徳」の時間があり、家では、あるいは近所でも、大人たちに「こうするものですよ」と日常的に、「生き方の作法」のようなことを、躾けられていたように思います。時代は移り、人々の価値観にも多様性といわれる昨今ですが、それでもやっぱり受け継がれるべき「作法」は大切にしてゆきたい、そう思い出させてくれる一冊です。なぜ「冬」なのか?きっと、こういう人生指南書のような、自己啓発本を読みたくなるのは、自らの気持ちが秋から冬になっているころではないか、と自分の浅はかな経験から勝手にこじ付けてみました(笑)。

「HOSTILES」Donald E. Stewart -15
ごめんなさい。実は映画化されたものを観ただけで、著者(と言えるのでしょうか、彼はスクリーンライタ―です)の原作は読んだことはありません。ぼくは、1983年にアメリカに移住して以来、人生の三分の二以上ここで過ごしています。この物語の主題は、人種間の争い、憎悪、悲劇、を人は克服できるのか?そのために、人は何と戦い、何故苦しみ、誰を許せばいいのか、、、。南北戦争直後のアメリカを舞台にした、ネイティブアメリカンと白人の埋め難き心の葛藤を重層的にコントラストさせています。比較にならないほど小さなものだけれど、ぼく自身渡米当時に「人種間のネガティブなカルチャーショック」を経験したことが、一層この物語に引き込まれたのだと思います。多様性(ダイバーシティ)が広がる今日の社会において、人はいかに同化できるのか(或いはできない)を
自問できる貴重なひと時を過ごせる作品です。すみません、、、本じゃないからルール違反ですよね、本当にごめんなさい。

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自分がファッション業界の片隅でウロチョロしていた時期に本当にお世話になった人。ホームグラウンドのLAではもちろんのことラスヴェガスやセントルイス、ニューヨークなどで思い出たくさんあります。来年こそはどこかで呑みたいな!(拓)

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6. 佐々木徹
​長らく「佐々木徹」をしています。転職したいです。​



「病床六尺」正岡子規 -16
この本を買ったときはSNSのない頃だった。なんとなしに布団に横になりながら読み返すと、病床から語られる子規の日々は今ならSNSやユーチューブで活動してそうだとか、いやさ、きっと炎上して寿命縮むだろうとか、時代なりの感想が浮かんでくる。ふと、目線をずらす。あァこれが子規の目線か、などとも思いながら無辺世界へ落ちていく。​

「機械式時計王子の休日 千駄木お忍びライフ」柊サナカ -17
自分は腕時計を付ける習慣がない。興味もさしてない。なのになぜかこの本はとても肌にあう。恐らく時計のことを何も知らないからなのだろう。時計嫌いの主人公・藤子と二人組の凄腕時計技師のデコボコトリオが、時計絡みのアレコレを解決するなかで出てくる知らないことだらけの時計の話と、実際に製品を調べたときの新鮮味と驚き(特に値段)は、是非とも時計に興味のない人に味わって欲しい。​

「パリ残像」木村伊兵衛​ -18
写真から香る柔らかくも一枚隔てたような遠さと自分にはどこか乾いて見えたパリの雰囲気は、きっと昼間から寒いのだろうという印象を覚えた。きっと実際は違うのだろう。でもそれは当時の街並みとともに気候も変わってしまったに違いない。きっとそうだ。昔のパリはもうないのだ!嗚呼!などと約65年前の異邦を映した本書で思い馳せるのには、冬の柔らかな陽と、パリ生まれのエリック・サティの柔らかくも少し寂しい曲がよく合う。​

活動予定も宣伝もありませんが、箱根に行きたいなァと。​

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当店初のグループ展「ノースレイクの夏猫展」に写真でご参加くださいました。またウェブサイトでも何点か写真を使わせていただいています。いつも皮のカメラバッグを担いでご来店、飄々としていてかっこいい!(拓)

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7. 後藤美鈴
作家
来年銀座と千葉の土気のカフェで個展予定

「有元利夫と女神たち 新装版」有元利夫 -19
 東京芸大のデザイン科卒業後電通に就職。その後画業に専念、1981年安井賞を受賞。38才という若さで亡くなった画家。私が凄く影響を受けた作家。本物の絵を見たのは予備校に通っていた時に銀座の画廊で。(画廊はタダでタブローが見れるので)特徴である風化的な絵肌がよく分かり、これもずっと見ていられる画集。途中の作家の文章は魅力的な人柄が出ていて、会って話したかったなぁと思う。

「大橋 正の博物誌」大橋 正 -20
 キッコウマンの新聞広告や明治製菓のイラストを手掛けたグラフィックデザイナー。初めて見たのは中学生の頃。美術資料総覧の中に”愛のある絵”と紹介されていたラディッシュ。野菜を愛でるように描いてあり見応え抜群。広告デザインとしても素晴らしい。ずっと見ていられる画集。

「聖なる予言」J.レッドフィールド -21
 題名に惹かれて購入。世界的ベストセラーとは知らなかったが、高校生の頃読んだら凄く夢中になった。不思議体験の連続を映画の様にスペクタクルに話は進んでいく。でも実は生きていく上で必要な知恵であると伝えている。見えない力を見たいし使いたいと思うが、行動にするのは難しい。普段の当たり前が奇跡なのか?と考えさせてくれる。

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地元の油絵画家さん、夏猫展にご参加いただきました。毎年、都内の画廊で個展やグループ展を開催していらっしゃいます。(拓)

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8. 柿木将平
CB PAC 店主

「気仙沼ニッティング物語 いいものを編む会社」御手洗瑞子 -22
今ではフルオーダーニットは300人待ちの
気仙沼ニッティング。
2012年12月、気仙沼で4人の編み手さんが
2ヶ月かけて編んだ4着から始まりました。
創業時の想いと、漁師町の仮設住宅で暮らす
編み手さんとのカラッとした明るい物語。

「東川スタイル 人口8000人のまちが共創する未来の価値基準」玉村雅敏 · 小島敏明 -23
北海道の人口8000人のまちでは“ふつう”のことが
今後の世の中で好循環を生み出すのかも知れません。
役場や学校、職人やカフェといった様々な住民が、
同じ価値観を共有するまちの話は面白いのです。

「世のなか 食のなか」瀬戸山玄-24
好きな本は?と聞かれるとこの本を答えることが多い。
便利でも簡単でも安くもないが、日本に残る
素晴らしい食材を伝える一冊。
便利と、簡単と、安さを、追い求めた現代に対して
少し前まで日本にあったものを教えてくれる大切な一冊。

CB PACという「千葉のセレクトショップ」を鎌ヶ谷の地で開きました。我孫子からも程近いのでお立ち寄りいただけますと嬉しいです。

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柿木さんのようなぼくらよりも若い世代で、清く深く千葉を愛する方が近隣に居るということは大変心強いのです。(拓)

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9. 小泉すなお
陶芸家 柏市に工房を構えて作陶しています。
 https://www.instagram.com/sunaokoizumi/
 https://blog.goo.ne.jp/kawasune

「短編画廊 絵から生まれた17の物語」ローレンス・ブロック編 -25
 画家エドワード・ホッパーの作品に、17人の作家が発想を得て書いた短編集。ホッパーの絵が想像力をかき立てる作品であることは当然としても、読み進めるうちにどれも元から小説の挿絵だったような気がしてきて、絵の解釈も変わってしまう不思議さもあります。絵と物語が一緒に楽しめる装幀も素敵な一冊。

「火山のふもとで」松家仁之 -26
「国立現代図書館」設計コンペの闘いと、若い建築家のひと夏の恋を描いた作品。物語は静かに進むのですが、建物や生物のディテールの描写が細密画を描くように上品で、登場人物のかすかな心の揺れを際立たせているようでした。読み終わるのが惜しい作品でした。

「陰翳礼讃」谷崎潤一郎 -27
「美は物体にあるのではなく、物体と物体が作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。」
日本文化における陰翳の美を、身の回りのものの中に見いだし、丹念に書かれています。漆器に盛られた味噌汁も、碗の中の闇に顔を近づければ、出汁の香りで口にふくむ前にぼんやりと味わいを感じ、その瞬間は神秘であり禅味であると。漆の器で味噌汁を頂きたくなります。

ギャラリー展示など、どこかで作品に出会って頂けたら幸いです。 

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かつて手賀沼の北側でバーナードリーチが、そして現在では南側で小泉すなおさんが土を捏ね格闘していると思うと、湖上を爽やかな風が抜けていく気がします。(拓)

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10. 猫実珈琲店図書部(音楽担当&店主)
http://nekozane-coffee.com

「クリスマスのフロスト」R・D・ウィングフィールド 1984年 -28
イギリスの田舎町の警察署が舞台の人気シリーズ一作目。勤務態度も私生活もだらしない
主人公のフロスト警部ですが、周りの人たちを振り回しながらも、事件解決に向けてだけ
は手を抜かず(ルール無視や偶然に助けられることはあっても)突き進む姿に惹かれます
。(音楽担当)

「邂逅の森」熊谷達也 2004年 -29
マタギのお話。ラストの巨大な熊との死闘が強烈な印象を残す小説ですが、それまでの主
人公の生き様(自然・人との向き合い方)を丁寧に描いていることが圧巻のラストにつな
がっていると思います。冬の話というわけではないですが、東北のマタギから雪山をイメ
ージして選びました。(音楽担当)

「風の竪琴弾き(イルスの竪琴3)」パトリシア・A・マキリップ 1981年 -30
7つの国の掟と謎に絡められ自分の運命と秩序を見出す物語は常に自然が描かれていて、主
人公モルゴンやレーデルルが北方荒野の雪や冷たい風が吹き荒むなかヴェスタになり、木
になり過ごす寒々とした厳しい世界はつらいだけでなく、壮麗で美しく、静かで気持ちや
すらぐ描写はすばらしく自然と一体となることができます。
30年前に入手した本は今読み返してもワクワクします。
(イルスの竪琴3部作 1.星を帯びし者 2.海と炎の娘)
(店主)

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訪れると必ず嬉しい発見がある街、浦安。そんな浦安の要、猫実珈琲店さん。地元のお客さんにとって「行けば誰か知り合いがいる」気がするカフェって最高です!(拓)

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11. 一戸 実
某食品会社サラリーマン

「津軽」太宰治 -31
太宰の「津軽」は紀行文の形をとった小説である、と私は思っている。「津軽」は季節としては春の話であるが、津軽の雪の種類の紹介から始まる。「津軽恋女」という演歌の中で新沼謙二が、津軽には七つの雪が降ると歌うそれである。けれども、そのうち降る雪は、四つだけということは多分、雪国の人しか知らない。我々は「こおり雪やざらめ雪が降っで来だら大変だじゃ」、と笑い合うのである。

「夜と薔薇」森雅之 -32
同姓同名なので間違いやすいが森雅之さんは漫画家である。彼の初期作品を集めた作品集である。リリカルという言葉がしっくりくる漫画が多く、北海道出身の彼の作品には雪のシーンが頻繁に登場する。私が中でも好きなのは、校庭で野球のフェンスに向かって繰り返しナイフを投げる少年。「とにかく恋をしなければ」という少年の独白。降りしきる雪。「ナイフ」という僅か1ページの、詩のような掌編である。

「斎藤真一 瞽女日記」斎藤真一 -33
齋藤真一という画家の描く人物には冬の景色が良く似合う。それはたとえ夏の景色であっても、どこかに冬が眠っているように思える。この本は瞽女という盲目の芸能者と彼が一緒に旅をした絵日記である。日記の多くは墨とペンで描かれたモノクロームであるが、彼の真骨頂はやはり油彩である。荒れる日本海を予感させる鉛色の空、雪の白、そしてなによりも彼の最も特徴的な色の「赤」が、風景の「冬」を目覚めさせるのだと思う。

RAINBOW BOOKSという屋号で一箱古本市に出店を続けている。昨年学生時代に書き溜めた漫画をまとめて自費出版した。

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2018年終了時点で340回近く一箱古本市に出店されている一箱古本市界の猛者レインボーブックスさん。その先に何が見えているのかお伺いしてみたい。(2016年の55回というのは毎週末以上!)(拓)

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12. 中川敦子
フィットネストレーナー
https://nakagawaatsuko.weebly.com

「告白」湊かなえ -34
自分の子供を生徒に殺された女性教師が、じわじわと犯人を追い詰めていく。生きている事、それ自体が辛いと思わせる最後は、復讐として完璧!残酷な内容ですが、何故かスカッとしました。

「できる大人のモノの言い方大全」話題の達人倶楽部 -35
本屋さんでぶらぶらしていたときに、ビビビっときて、直ぐに購入しました。なんてったって「できる大人の」っていうタイトルが良いじゃないですか。日本語は難しいですが、使いこなせる大人になりたいです。

「ちゃんとキレイにヤセたくて。」細川貂々 -36
元アジア女子ボディービルディングチャンピオンの西本朱希先生が監修しています。
40過ぎて食事だけで痩せると、ハリが無くブヨブヨに。それを隠すために夏でも長袖長ズボンだった貂々さんが筋トレをすることによってキレイに痩せていく1冊です。実技も載っているので、ためになるマンガです!

姿勢改善エクササイズ教室などのグループレッスンや、パーソナルトレーニングを行っています。 

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香取神社の御朱印の書も書かれている文武両道の大和撫子!いつか生活習慣病予防のストレッチメニューを作ってもらい、指導してもらいたいと思ってます。(拓)

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14. 岸本順一/なつき
会社員

「天皇の料理番」杉森久英  -37
中学生の時に堺正章さん主演で放映されたテレビドラマを観たあとに、原作を読んで調理師になりたいと夢見るキッカケに。結果調理師にはならなかったけれど、趣味?特技?の料理はこの本が原点です。
佐藤健くん主演で4年前に放映された時には、あまりドラマを観ない我が家の数少ない楽しみなドラマの一つでした。(順一)

「会計の世界史」田中靖浩 -38
仕事柄、本屋さんでタイトルが目にとまり、読み出したら止まらなかった本です。
会計といえば小難しい?そんな概念がすっかり覆る面白い小話が満載。ダヴィンチからビートルズまで、ヨーロッパで生まれた会計が発展しながら大西洋を渡りアメリカまでつながっていく、歴史の旅をなぞって楽しめるエンターテインメントな一冊です。(なつき)

「世界から猫が消えたなら」川村元気  -39
この本にはLINE配信で出会いました。主人公が次は世界から何を消す決断をするのか?毎週木曜日の配信が待ち遠しく、クライマックスの場面では、帰宅ラッシュの電車で携帯握りしめあやうくこぼれる涙を止めるのに必死。同じ場面で、旦那さんから「つい泣いちゃった」の感想に、素直な人だと思ったことを覚えています。これは私達が付き合う前のエピソード…。

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開店当時から足繁く通っていただいているお客様。山に平地にお構いなく走り回るランナーご夫婦と話すアスリートネタは、自分にもかつてあったはずのランナーの魂に火をつけてくれるのですが、、、いつも燻るだけで、、、(拓)

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15. 豊岡貴子
主婦

「ツバキ文具店」小川糸 −40
鎌倉を舞台に文具店と代書屋を営む主人公。亡くなった祖母との確執もありながら、祖母の家で丁寧に日々を暮らし、引き継いだ代書仕事を通して祖母を理解していく。代書屋は代筆屋ではない。依頼人の気持ち、手紙を受け取る人の気持ち、双方のことを考え抜いて綴る言葉には魂がある。代書仕事の紙や筆の選び方もプロとしてのこだわりがあり、文具好きの心をくすぐられてしまう。鎌倉の名所や名店もさりげなく登場し、たまらなく行きたくなる。
 
「東京すみっこごはん」成田名瑠子 -41
 路地裏にひっそり佇む「すみっこごはん」は年齢や性別、職業も異なる人たちが集まる共同台所。料理担当はくじ引きで決めて、レシピノートの料理を作る。まずい日もある。ここに集まる人たちを主人公にした連作短編集だ。それぞれに孤独や悩みを抱えているが、ここで誰かとご飯を食べることで心満たされていく。ご飯って大事なんだなぁとあらためて思った。ちゃんと作らなくては。寒い冬にほっこりできる1冊。
 
「365日で味わう美しい日本の季語」金子兜太 監修 -42
 俳句を詠んだことはない。でも季語の美しさに魅せられる。この本は、一日一季語が解説つきで紹介されている。それを知ると、木々や花、虫の音など普段気づかないことにも目が留まるようになる。例えば私の誕生日の季語は「枯れ野」。枯れ果てた冬の野原の意味。これだけきくと寂しくなるが、説明文の最後には再生の春を待つ兆し…と書かれていて逆に気分があがる。四季の移ろいを味わえる、小さなことに幸せを感じられる、そんな自分でいたいと思う。

受験生の母でして、この冬は気が狂いそうです。コーヒー飲んで本読んで、そんな至福の春を待ちわびています。

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開店当初から、多方面でサポートしていただいているお客様。Books Katojiという屋号で古本市にもご参加いただいたりもしています。多謝!(拓)

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16. 小鳥居 敏也(SANGA)
千葉県房総半島にある鋸山の麓で、
SANGA SOBA&COFFEE STANDという小さなお店を営んでおります。

「白土三平フィールド・ノート―土の味」白土三平 -43
『忍者武芸帳』や『カムイ伝』で知られる漫画家の白土三平先生が房総地方の海と山の生きものたちの生態や、地の人々の生活を記録した一冊。
〜〜「アウトドア」とは、都会生活者が遊びながら、己が自然の一部であったことを思い出すためにあると思う。自然の一部だからこそ、その力に助けられてここまで歩いてこれたことを忘れた時、人は滅びる 〜〜 近年のアウトドアブーム、原発事故、度重なる自然災害によって「自然回帰志向」が高まっている今だからこそ沢山の人に読んでもらいたい本です。再版も願う!

「白土三平フィールド・ノート2―風の味」白土三平 -44
こちらはパート2。このシリーズは昭和58年からBE-PALにて連載していたもので、内容についての事前の打ち合わせ等は一切なく、テーマの選択、取材、撮影、構成、執筆にいたるまですべて白土三平先生1人でやっていたという、驚きの仕事ぶり。もちろんインターネット等ない時代、書物や図鑑の上での知識ではなく、実際に見て、触って、食べて、身体で覚えたものが全て。36年が経った今でもワクワクする新鮮な内容ばかりです。

「白土三平 野外手帳」白土三平 -45
フィールド・ノート パート1と2を一冊にまとめた文庫本。
それぞれの内容が春夏秋冬と四季ごとに分けられており、辰巳浜子さんの「料理歳時記」と一緒にセットで持っておきたい一冊です。
店名である「SANGA」は白土先生に名付けて頂いたこともあり、今回は3冊とも先生に関する本を紹介をさせて頂きました。

お店がOPENして3年目、のんびりゆる〜くやっております。そろそろ夜の営業もスタートしたいなあと思いつつ。。
いつの日かフィールドノートに掲載されている白土先生のメニューをお店で提供できたらなと思っております!

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海外からのお客様も多くいらっしゃるという鋸山近くのお蕎麦屋さん&コーヒースタンド。夏休み伺おうとしていたその日、サンガさん臨時休業して我孫子に向かっていたなんてことも、、、早くサンガさんのお蕎麦を啜りにいきたいです!(拓)

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17. 鈴木瑛介
来年から某リゾート施設で働き始めます。

「ナジャ」アンドレ・ブルトン -46
僕は去年の冬、初めてパリを訪れた。一週間ほど滞在したが、すべての日が曇りだった。そしてそれは、この本でふいに現れる白黒の写真たちと、どこか重なる風景だった。
誰かがかつて歩いた道を、いま歩く。亡霊を追うような行為。僕はブルトンを、ブルトンはナジャを追った。「私は誰か?」に対する答えは、ここにある。そう、僕は明らかに去年の冬、ブルトンと共にパリの街にいたのであり、そこには一切の時間の隔たりもなかった。

「フランケンシュタイン」メアリー・シェリー -47
ひとりよりふたりの方がいい。そんな怪物”フランケンシュタイン”の願いは、冬の静けさでこそ響く。白色の雪山でこだまするのだ。しかしその声を聴く者は誰もいない。
この世の矛盾。「心の安定をもたらす何よりの妙薬は、決して揺らぐことのない目的を持つこと」「自ら選んだ境遇におのれの気質を順応させていくしかなかった」
作者のシェリーはブルトンよりも早く気づいていた。自らが追うものに、いずれ追われることになることを。

「クワイエット・コーナー: 心を静める音楽集」山本勇樹 -48
行間を読むように聴くディスクガイド。例えば、「A Hazy Shade of Winter」という、冬の静けさを聴く章がある。言うまでもなく、サイモン&ガーファンクルの代表曲の名だ。収録アルバム『Bookends』(1968)が紹介される。しかしその横に並ぶのはピーター・ブロデリックによる『Here They Are』(2010)。この半世紀にも渡る”行間”を流れる通奏低音は何だ。そこには監修山本勇樹さんの作家性が感じられる。ジャンルや年代という客観性から解放され、あくまでも主観的に語った素晴らしき音楽本。

Apple Musicにてクリスマスプレイリストを作っています。ご興味ある方は「鈴木瑛介」のアカウントから聴いてみてください。

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今回最年少、自慢の甥っ子です。失敗を恐れず人生を楽しんでください!(拓)

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18. 益田淳
広告業、人形づくり
#musiccolondoll

「Time Is Tight: My Life, Note by Note」BOOKER T. JONES -49
メンフィスソウルミュージックの雄、Booker T. Jonesの自伝。75歳を迎えるにあたり、2019年10月30日発刊されたばかり。オーティス レディングの飛行機事故死、キング牧師暗殺などの史実が、生々しい体験談として伝わってくる。ほぼ同時発売の全曲新録のアルバム『Note by Note』は、本書のサウンドトラックとして合わせて聴いてほしい。#bookert_and_the_mgs_fans

「スタックスレコード物語」 原題:SOULSVILLE U.S.A. THE STORY OF STAX RECORDS  ロブ ボウマン著/ 新井 崇嗣 訳 -50
1957年STAXレコード設立から1975年の倒産までを、128人の関係者に12年という歳月をかけたインタビューによって構成され、アメリカ音楽産業の歴史の一片を知ることができる。STAX研究の第一人者ボブ・ボウマン著、1997年発刊。2008年待望の日本語版が刊行された。私には、ディクショナリーオブソウルだ。

「ソウルの秘密」 原題: The sound of soul フィル ガーランド著、三橋 一夫訳 -51
Booker T & the MG’s、1969年のアルバム、Booker T Setのオリジナルライナノーツを執筆した、EBONY誌の女性記者フィル・ガーランド著。ソウルミュージックが世界を席巻し音楽の一ジャンルとなった真っ只中で、緻密な取材によって構成されている。著者も明記しているとおり。黒人視点で書かれていることに注目して読んでほしい。訳者の三橋一夫氏の編集方針によって、この一冊の資料的価値はさらに高められた。

2020年4月30日〜5月5日、#musiccolondoll for Music Lover
鎌倉の水平線ギャラリーで個展をします。松田さんに贈ったような雰囲気の人形で、ミュージシャンを集めた展示を予定しています。

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店頭やインスタでご覧になった方も多いと思いますが、ぼくの人形を作ってくださった方が益田さんです。ある音楽の造詣の深さとクールな人形たちとで展示をできたらと妄想中。(拓)

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19. 浜名洋一 
会社役員

何せ、アメリカが好きなもので、今回選書して、改めてその起源が分かったような気がします。

「ぼくはプレスリーが大好き」片岡義男 -52
確か読んだのは中学1・2年だったかと。角川文庫の赤版で、毎月数点出ていたような記憶があり
ます。ほぼ同時期にラジオで聴いた「ハートブレイク・ホテル」や映画「アメリカン・グラフィ
ティ」の影響もあり、書籍で触れた初めてのアメリカン・カルチャーに興奮した記憶がります。
何度も読み返した覚えがあるものの、内容はほとんど覚えておりません。でももう一度読みたく
なりました。

「風の歌を聞け」村上春樹 -53
大量の片岡義男を読み、また、違ったアメリカを感じました。以来、ほぼ全作読んでいます。

「ポパイの時代-ある雑誌の奇妙な航海」赤田祐一 -54
本当は雑誌「POPEYE」でしょうが、この雑誌がどのように作られていたかの関係者による証言集
。当時田舎の高校生には知る由もありません。学校では教えてくれないことをいっぱい教わりました。

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当店開店時からバックアップしていただいている恩人であり、古着のピックをしにアメリカを一緒にウロチョロしたりした古くからの友人。一緒に飲んだ時は必ずアメリカ、カナダでのロードトリップの話で盛り上がります。(拓)

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20. 中村俊之
宿泊業

「今君に伝えたいお金の話」村上世彰 -55
冬の、という括りに入るのかどうか微妙ではありますが中学生の息子が読んでいた本がなかなか目から鱗な内容だったのでご紹介したいと思います。「お金は一人でポツンといるのが嫌いです。」このキーワードにグッときてしまいました。寒い冬、懐は暖かくしておきたいものです。ALOHA

沖縄北部で宿泊施設を運営しております。自然豊かなやんばるへの旅の拠点になるような宿です。お越しの際はぜひ。
enishi house , canvas stay&pleasure

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ファッション業界にいた頃、よく展示会でブースをシェアしたりして一緒に活動していました。鴨川、バリ、ハワイ、沖縄とヒッピーライクに活動の場を移し、最近は宿も経営しています。沖縄に行ったらこちらの宿で、飲み明かしたい!(拓)

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21. 伊藤たけし
ベーグル屋

「TRUCK NEST」truck furniture -56
インテリアの雑誌を見て空間を妄想するのが好きで、毎回かっこいーなー!と目に留まる家具は毎回truck!truck!!truck!!!と引き込まれていった大阪にあるtruck furnitureの存在。そのtruckが今現在の場所を作るまでの記録の本【TRUCK NEST】。その記録は、これから何か始めようとしている方、ただただ会社に行き来しているだけの方たちに、ごくりと生唾を飲むようなワクワク感をくれる伊藤オススメの本です!

ベーグル事業拡大!

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当店の店先でもベーグルを屋台販売してくださり大好評でした!屋台もお店もセルフメイド。きっかけはこの本だったのですね!選書をお願いしたところ「1冊だけだったら!」と無理を聞いてくださいました。感謝!(拓)

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22. 安田寿之
音楽家。
目先の仕事が多く、もう少しマニアックかつ長期的な展望の活動がしたいところです。
http://www.toshiyuki-yasuda.com

「短編画廊 絵から生まれた17の物語」スティーブン・キングなど -57
エドワード・ホッパーの絵からインスパイアされた「本のコンピレーション」。作者はみな、限定されることでの想像力の爆発を楽しんでいる。ホッパー作では、犯罪の匂いがする「夜鷹」が好きだ。今にも銃撃戦が始まりそう、などという浅い想像を遥かに超えるマイクル・コナリーの作品は、メタにこの絵を捉えた快作だった。夏っぽい絵が多い気もするが、この作品は凍える季節が舞台だ。

「ユング心理学入門」河合隼雄 -58
専門書でありながら、いつも元気づけてくれる河合先生の本。アニマ/アニムスの章で、ジレンマを感じた。女性が多様な生き方をするようになれば相対的に母親の役目は薄まり、男子は大人になり女性に母性を求めるが叶わず浮気性になる。うむ、問題はやはり男だ。サンタクロースは人々の「影」の集合体だと思うのですが、先生どうなんでしょう?

「サステナブル・ミュージック」若尾裕 -59
システム化された近代西洋音楽から離れた、音楽の可能性の数々。その一つ「参加型音楽」は、音楽家対聴衆という前世紀の音楽ビジネスに代表される「上演型音楽」に対するもの。面白いのは、民族音楽や宗教音楽はもちろん、最近の電子音楽もこれに近いことだ。音楽教育を受けなくても安い機材をシンクロさせて誰でも参加できる、プロが希薄になるジャンル。危機感より可能性を感じる。こたつに入ってみんなで電子楽器でセッションしよう。

音楽を担当したNHKドラマ10「これは経費で落ちません!」のサントラが年末年始にリリース。

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読書家の安田さんにはついつい毎年お願いしちゃってます。当店でも安田さんのCD”Breaking the Silence”,”Nameless God’s Blue”など取り扱っています。ぜひ!多部未華子さんにはお会いしたりしてるのかなあ〜(拓)

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23. 杉山啓子
アーティスト
https://www.facebook.com/keiko.sugiyama.125

「掃除婦のための手引書」ルシア・ベルリン 訳:岸本佐知子 -60
姉に勧められた「評判になってる本」。乾いたシャープな語り口が独特の、シニカルなユーモアと共に、なんだか懐かしい本。昔々、読んでたよな。こんな風なアメリカ文学。とも思うが、新しい。アメリカの『作文』って、こういう感じなんだろうかなと思う。ユニークな体験をもとに、大学で「作文作法」も教えていたという「再発見」された作家。切り口が小気味良くウェットなお国柄では生まれにくい文章なのだろうかとも思う。読んでないだけでまだまだどこかに存在しているんだろう。これだから「読書」はやめられない。

「東京プリズン」/「箱の中の天皇」赤坂真理 -61
合わせ読み。この本「東京プリズン」を一旦手に取って数ページパラパラし、そっと棚に戻す。多分、読みこなせない。日本史の近代の歴史の授業「戦前戦後」が近づくと、フルスピードで時間が足りなくなりすっ飛ばされた。近代史・「昭和」の大切な部分が朧なのだ。おのおの各自で勉強せい。と、いうことなのだろうか。どうしよう。「私には自分の国なのに、自分の国がわからない。」出だしが、胸に迫る。やはり読まねば。16才の女の子がアメリカに留学し、そこで深く考察し始める姿は、著者の経験が投影されている。「謎」に思っていて、ずっとずっとふたを開けなかった『箱』へと物語はいざなわれ、赤坂真理は言うのだ、「この国には秘密がある。」と。

「三つ編み」レティシア・コロンバニ 訳:斎藤可津子 -62
友人が「気になってる本」と言った。読んだ。これは、映画にして!と思ったら、作家が脚本家だった。主人公それぞれ三人の、国もちがう・性格もちがう・立ち向かう逆境っぷりもちがう、そんな配役を夢想する。多くの困難にあってる全女性、それを知って助けられないでいる人、たくさんの人に、特に勇気を読みたい女性にオススメしたい本。ラストに編み上げられていく「三つ編み」の綺麗さに「嗚呼」の声が出そうになる。作者の始動開始と言う噂。封切りが待ち遠しい。

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当店では3度目となる杉山啓子さんの個展が(2019~2020)年を跨いで開催中。杉山さんも読書家でいらっしゃるので、ついつい毎年のようにお願いしてしまいます。(拓)

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24. 内山章
建築家NPO理事

「彗星の孤独」寺尾紗穂 -63
ピーター・バラカンのラジオでジョニ・ミッチェルの「A Case of You」という名曲をプリンスがカバーした話を聞いて、聞いたことあるはずだが思い出せずYouTubeで検索したときに、彼女の日本語直訳のカバーに偶然ヒットし一瞬で恋に落ちてしまった。その後、彼女のライブの小さな打上げで直接会うことになり記憶にないくらい緊張した。とにかくこんなに読ませる文章を書く人は本当に珍しいと思う。大好きです。しかしなんでプリンス死んじゃったのかなぁ(悲

「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」幡野広志 -64
34歳で不治の血液ガンが発病した写真家のエッセイ。余命は3年。それをいかに自分の人生として生きるかの過程が綴られている。自分にとっては7歳から苦しんでいた(と49歳になってわかったんだが)母親との関係を手離すきっかけになった大切な本。生きにくさを少なからず感じている(自覚できる)人に。NASAの定義する二つの家族、「直系家族」「拡大家族」の話が個人的クライマックス。もう一度家族を持ちたいと思わされた。彼のnoteやtwitterもぜひ。

「北北西に雲と往け」入江亜季 -65
アイスランドを舞台にした珍しい漫画。ちょうど1年ほど前、見たことのない景色を見たくてアイスランドに。オーロラ、氷河ももちろんすばらしかったが、どこまでも続く苔に覆われた溶岩の大地にも感動した。漫画自体のストーリーもあるが、アイスランドについての歴史や社会性などもかなり深く表現されていて、初刊から2年で3巻しか刊行してない遅筆の理由も納得。特に2巻はアイスランド観光本を裕に超える情報量とクオリティー。これでアイスランドのファーストコンタクトは十分。

◎次点
日本列島回復論:この国て生き続けるために(井上岳一)
僕は君たちに武器を配りたい(瀧本哲史)
いずれもこの社会をどうサバイブしていくかの教本のような本。

昨今の異常気象など自然環境への影響が深いとされているCO2削減を積極的に進めるため、再生可能エネルギーやバイオマスエネルギーをいかに建築に取り込むかがここ数年の課題。それとNPOで関わっている南房総の復興支援とその未来を考えるのが個人的なホットイシュー。

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当店の店舗設計してくださった内山さん。最近では断熱のワークショップをやっていただきましたが、各地で引っ張りだこのようでなかなかお会いすることができないので寂しいです(拓)

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25. カイズケン
画家
http://blog.livedoor.jp/kaizuken1/

「首里城への坂道」与那原 恵 -66
先日火災により消失した首里城、平成の復元でも貴重な資料となった写真を撮影した日本人と沖縄との交流を追ったノンフィクション。

「遠い他国でひょんと死ぬるや」宮内悠介 -67
フィリピンに出征し戦死したとされる竹内浩三の詩を導入に、エンターティメント文学による戦争の記憶継承の試み。

「旅をする木」星野道夫 -68
20世紀のアラスカから届く手紙は、今の時代にもより心に響く。〜私たちが生きることができるのは、過去でも未来でもなく、ただ今しかないのだと〜。

各地で個展を開催中。「よたか堂」の屋号で一箱古本市にも出店してます。

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2019年は虫をテーマにした絵画展をしていただきました。次はどんな展示になるか!(拓)

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26. 成田 章
低音奏者系情報技術者

「une certaine grace」Sebastia Salgado -69
サルガドの写真はシビれる。あまりにも身近さぎる死、剥き出しの欲望、盲目の信仰、ひたすら続いていく日常、小さな嫉妬。たった一枚の写真がこんなに多くのことを語りかけるのか。しかし、メディアと同じ戦略で繰り出される「真実」によりあたりさわりのない「同情」「共感」という檻に閉じ籠る脆弱な我々の悲惨さにも光をあてているのかもしれない。素晴らしい写真集。

「村田エフェンディ滞土録」梨木香歩 -70
村田の”Disce Gaudere”という囁きに対して「友よ!」と返す鸚鵡に涙してしまった。
「その時」「その場所で」通用するある言葉が時と空間を超えてもっと大きく普遍的な言葉に聞こえてくるマジック。きっとその普遍的な意味はこの本とボクの間に存在するものである。そしてそれはDisce Gaudereという記号で表されるのだ。

「弥勒」稲垣足穂 -71
堕落して酩酊して飢餓を極めて行き着く先が「今から五十六億七千万年の後、竜華樹下において正道して、先の釈迦牟尼仏の説法に溺れた衆生を済度すべき使命を託された者は、まさにこの自分でなければならない」と覚醒する衝撃のラスト。

しばらく名古屋でまったり過ごしてることでしょう

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当店ブッククラブ主要メンバーで読書量も半端ありません。そんな成田さんが選んだサルガドの写真集、見てみたい!(拓)

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27. 沼尻亙司
暮ラシカルデザイン編集室
「房総の名刺」となるリトルプレスを自費出版。取材、執筆、撮影、デザイン、販売までを一貫して手がけ、リヤカー屋台での出店もします。主な著書に『BOSO DAILY TOURISM』『房総コーヒー』など

「DRIFT Volume4 Stockholm」 -72
コーヒーシーンを1都市1冊にまとめた海外雑誌のストックホルム編。凜とした北欧の空気感と、コーヒーのアロマが重なり合う風景の数々は、現地の人たちにとってはごく普通で、愛おしい日常だろう。寒く冷たい冬にも暖かなシーンが存在することを気づかせてくれる。

「POLAR」石川直樹 -73
『辺境はわたしたちの心の中にあるだけで、実際には存在しない』。見慣れた地図の見方を変える、そして現地に実際に感じることで、新たな世界が見えてくる。写真家、石川直樹さんの写した北極圏の写真とその言葉は、私たちの精神に繋がる新たな世界への入口である。

「小僧の神様・城の崎にて」志賀直哉  -74
この新潮文庫の中に『雪の日ー我孫子日誌ー』が収録されている。手賀沼湖畔に住んでいた志賀直哉、柳宗悦、バーナード・リーチらの交流の様子が、あたたかな情景で描かれる。往時に思いを馳せながら湖畔を散策してみるのもいい。

1/25(土)・26(日)両日開催される「EVER BOOK STREET」(大多喜町)に出店します

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夏に開催した沼尻さんの写真展「房総へ」にはたくさんのお客様が見に来ていただきました!沼尻さんの房総を見つめる熱い眼差しがそうさせたのだと思います。(拓)

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28. 吉野悟
Yoshino herb farm

「The Art of Fermentation 発酵の技法」Sandor Ellix Katz -75
帯に「DIY発酵完全ガイド」とあったので発酵調理のレシピだと思って購入。
目次には「ザワークラウト」「キムチ」「ケフィア」等々と、名だたる発酵食品が並んでいます。
でもこの本には、レシピ本に不可欠な分量や作り方の説明はほとんど載っていません。
主に書かれているのは筆者が世界中の色々な人から聞いた各発酵食品にまつわるお話し。
それが、分量や作り方なんかよりも、もっと重要な事だったりするから面白い。
発酵している事と、腐っていることの違いを見分けれる事が出来ればいいワケで。
レシピじゃないけど発酵食品がものすごく作りたくなる。
そんな本。

「死ぬ前に味わいたい1001食品」リズ・フランクリン 他52名 -76
今どきずいぶん大袈裟なタイトルだな〜(笑)
って手にとって、買っちゃったんですから術中にハマった訳で。
簡単に言えば食品図鑑です。
でも1001のチョイスが良い!
タマリンドとか、ガラナとか「名前は聞いたことあるんだけど、どんなんだっけ〜?」ってやつから、
リア王の登場人物エドガーが断崖によじ登り命がけで採取していたロックサンファイアはもっと収穫しやすい場所に生育しているとか。
ちょっと斜めな感じの選もあって楽しい。
一番驚いたのは、カシューナッツはカシューアップルというフルーツのタネってこと。
カシューアップルは強い芳香であっという間にキッチンが良い香りで満たされるんだとか。
これは死ぬまでに食べてみたい。

「derek jarman’s garden」photographs by howard sooley -77
UPLINKからリリースされていた「WITTGEN STEIN」や「BLUE」のVHSが欲しくてたまらなかった学生時代。
デレク・ジャーマンについては知っていました。
映画監督で、ゲイで、HIVに感染して、エイズで亡くなった、くらいのこと。
知らなかったのが、彼は園芸家でもあったということ。
イギリス南東部。
砂利のビーチが続くダンジネスという岬。
そこにあるデレク・ジャーマンのコテージと庭。
真っ黒な壁に、黄色い窓枠。
シーケールやポピー、フェンネルが風になびく庭。
あちこちにレイアウトされた、流木、古びた農具や漁具。
デレク・ジャーマンが晩年過ごした場所。
優しくて、整っている。
洋書ですが、英語もなんだか優しめ。
良いです。

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Yoshino herb farmさんの丸いシールをデザインさせてもらったのが遠い昔に感じます。さすが美術系の大学で写真の勉強をされていただけあって作る野菜も美しく美味しい。それを撮った写真も美しい。(拓)

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29. 瀬戸沙織
コーダー
書林Seijiという屋号で、時折一箱古本市に出店してます。
Twitter:@seiji_forest

しんしんとした寒さがくれる、贈り物のような三冊を。

「春になったら苺を摘みに」梨木香歩 -78
著者の英国滞在時代を綴った、多様な主義や価値観に出会うエッセイ。人と人の断絶は溶けない氷の様でいて、けれどちょっとした優しさやユーモアが、もしくは時間が、いつしか氷を溶かす。その邂逅の暖かさを著者は、言葉で言い尽くさず余韻にして残す。長く静かに響き続けるその余韻は、差し込む光の様に。

「イニュニック アラスカの原野を旅する」星野道夫 -79
布団から出たくない朝は、極限の地で雪を割って咲く花と、その花に眼差しを向けた一人のカメラマンを思い出そう。離れ難い温もりを思い切って剥ぎ、外に飛び出す。頬を刺す寒さの先に、まばゆい景色が待っている。星野さんが愛した原野と繋がる空の下、凛として歩こう。

「ステーキを下町で」平松洋子 -80
季節折々、全国津々浦々の食の探訪記。人、場所、時代を伴い、映画のワンシーンの様に浮かび上がる「味」の描写は、著者の真骨頂。冬ならば夜。木枯らしに吹かれ慌てて暖簾をくぐれば、ほわぁと昇る湯気がまずご馳走だ。甘くなる野菜、脂が乗る魚。寒さあってこそ輝きを増す美味しさがある。言葉に出来ない寂寥感すら、鍋に放り込み頬張れば、明日の熱源に変わるのだ。

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瀬戸さんのことを眺めていると「読むこと」と「食べること」、青空の下カメラ片手に「散歩すること」が大好きなんだろうなあと思う。まさにそんな3冊!(拓)

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30. 天谷久美子 
会社員

「だれも知らない小さな国」講談社 -81
「オウリィと呼ばれたころ―終戦をはさんだ自伝物語」理論社 -82
「コロボックルに出会うまで 自伝小説さっとると『豆の木』」偕成社 -83
佐藤さとる著

2017年冬に亡くなった佐藤さとる氏は、私の憧れの方である。昔々、小学生だった私は、『だれも知らない小さな国』をジャケ買いした。それからというもの、そのシリーズにお小遣いをつぎこんだ。
その生みの親である佐藤さとる氏の生い立ち、名作が生み出されるまでが描かれた2冊の自伝物語では、戦中から戦後すぐの苦しい時代に「長編の童話を書きたい」という信念を実現させたことが描かれている。辛いはずなのに悲惨に感じさせないのは、同氏のお人柄か。作品が、甘すぎないファンタジーであるのは、建築を学んだという理系の思考回路だからなのか、等々。まるで、近所のお兄さんをみるかのように読み進めた。作家となるまでの道のりは、容易くなかったようだが、素敵な作品の数々を送り出し、私たちを楽しませてくれた。
私が持っている『だれも知らない小さな国』の装丁デザインは、亀倉雄策大先生だ。デザインと言葉使いに年月を感じはするが、デジタル時代の今でも充分通用する物語。ご興味を持たれたら、是非順番に読んでいただきたいと思う。

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開店当初からのお客様であり、本とお酒が好きで、地元で同い年。末長くよろしくお願いいたします!(拓)

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31. 駄々猫
本とは関係ない業界の派遣社員

「この庭に 黒いミンクの話」梨木香歩、須藤由希子(絵) -84
私は今、自分が「正しく」冬にある、と、わかっていた。
夢の話のような、時空を越えた話のような、わかったようでわからない不思議な読後感。シンプルな文章とモノトーンの絵。澄んだ空気の冷たさ、雪が積もった世界の静けさをベースに、暖かなミルク、頭のないサーディン、咬み傷から滴る血などのモチーフが強く印象づけられる。物語全体が、様々な想像をかきたてる一枚の絵のようなお話。雪の日、静かな場所で読んで欲しい。

「冬将軍が来た夏」甘耀明、白水紀子(訳) -85
夏の本、でもあるのだけど、今年読んだ傑作揃いの外国文学作品で、良くも悪くも最も感情を揺さぶられた作品。
主人公を取り巻く、それぞれ痛みを抱えたお婆さんたちの、みっともないカッコ良さ、に惚れ惚れした。台湾の歴史や社会事情に詳しくないので、よく分からない点もあり、読んでいて辛いシーンや嫌だなと思う部分もあったのだが、所々で熱いものが込み上げてきた。人が抱く想いの強さは尊いものだと深く思わされた。読後、自分にとっての冬将軍とは?と、考えてみて下さい。

「ねすごしたサンタクロース」垣内磯子(文) 宇野亜喜良(絵) -86
コミカルな物語と、宇野氏の耽美な絵柄の組み合わせが、良い塩梅にブレンドされて、思わずプレゼントしたくなった絵本。
ダメなサンタとダメな魔法使いコンビの表情の変化が素晴らしい。
てか、年に一度の本番?に寝過ごすなよ、サンタ!

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books&socks駄々猫舎として冬空古本市に参加予定でしたが雨天中止になってしまいました。本と靴下をどうやってディスプレイするのか見たかったな!(拓)

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32. 西廣淳
国立環境研究所/東邦大学

「決断科学のすすめ—持続可能な未来に向けて、どうすれば社会を変えられるか?」矢原徹一(著)文一総合出版 -87
人間の行動特性を生物学的にとらえ、互いに協力して問題解決に臨むためのポイントを述べた本。教養としても実用としてもおすすめ。著者が人間について肯定的なので、読んでいて気持ちがいい。

「暴力の人類史」スティーブ・ピンカー(著)青土社 -88
「いま生きている社会は人間の歴史上、もっとも平和な時代である」という結論を、さまざまな事実に基づいて導いている。これを読んで、次の時代に何を引き継げるのか、考える。

「人と生態系のダイナミクス  農地・草地の歴史と未来」宮下直・西廣淳(著)朝倉書店 -89
すみません、宣伝です。人間 vs. 自然という対立をなるべく解消したくて、両者が深く影響しあってきた歴史と、未来に向けた新しい動きを紹介しました。

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2020年最初のサイエンスカフェ、カフェ自愉時間にご登壇です。西廣淳さんのお話は本当に面白いです!(拓)

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33. 遠藤 悟
ベスパ専門店 K.B.SCOOTERS
JOINTEDというバンドでウッドベースも弾いてます。  

「2トーン・ストーリー (スペシャルズ~炎に包まれたポスト・パンク・ジェネレーション)」デイヴ・トンプソン著 中島 英辻 訳  -90
60年代後半のイギリスで生まれたスキンヘッドというカルチャー。
当時のスキンスが聴いていた音楽はジャマイカンミュージックが中心。
オーセンティックなSKAやらレゲエやら。
そんなカルチャーも下火となったけど70年代後半、今度はパンクというカルチャーと結びつきスキンヘッドが再び表舞台へ。
しかし、当時のイギリス国内の情勢、人種差別問題、あれやこれやと絡んで同じスキンヘッドというファッションをしていてもスキンズ内で対立していくことに。
そんな中、パンクとスカの融合という形で2TONEと呼ばれる、Specialsを中心として新しい音楽を奏でるバンドが多数現れてブームとなる。
ブームの裏の、移民に対するスタンスでの対立など当時のイギリスの若者の姿を2TONEを通して知る事が出来る貴重な一冊。
っで、2TONEブ-ムの波は極東の地 日本にもやってきて1981年、2TONEの事など何一つ知らない鼻を垂らしたガキだった自分がお茶の間のブラウン管の中から流れてくるCM音楽を口ずさみ、そして奇妙なダンスを真似していたりしたのである。
「 シティ♪ホンダ ホンダ ホンダ ホンダ」。

「劒岳・点の記」新田 次郎 著 -91
脳内登山歴25年のベテランな自分。
脳内登山を始めるきっかけとなった本はこの本でした。
この本を読んだのち、世界各地の険しい山々を登りまくった自分(脳内で)。
酸素ボンベなど使わずハードコアな冬期単独登頂を何度も経験(脳内で)。
山で生まれる恋、現地のシェルパ達との触れ合いなど温かい経験もした(脳内で)。
何度も経験した天候急変によるビバーク、滑落、辛い友との別れ、もうだめかと思った時は何度もある(脳内で)。
山に登るという行為、それでも止められないんですよね。
という事でこれから脳内登山を始めようかと思った貴方、いきなりK2?早いよ。
山を舐めるな。
マジで死ぬよ(脳内で)。
っで、脳内登山はしまくっているけど大人になってから実際の登山は一度もしたことがない自分。
今後も登る事はないと思われ、永遠と脳内登山家を名乗り続けていくんだろうな。

「ラー油はラー油でも生辣油の本」魚柄仁之助 著 -92
家庭菜園ならぬ職場菜園なんてものをやっていまして、そこで育てた作物をあれこれ加工して食べるのが趣味の一つ。
数年前から育てたトウガラシを使ってラー油を作る事にハマっています。
今年は変わったラー油も作ってみたいなとネット検索かけていたら出会ったこの本。
生ラー油?加熱しないの?面白そうだなと買ってみましたが、それ以前にラー油で一冊の本を書き上げる著者の方が気になり過ぎて買ってしまった感もある。
そして著者の方がラー油道を極めるきっかけとなったのが宇都宮の餃子屋さんのラー油だったというのを読みガックリ来る自分。
切っ掛けは自分も一緒。
10年以上前に宇都宮餃子屋巡りをしたことがあったんですが自分的には餃子よりラー油の美味しさにビックリしたんですよ。
その記憶がありラー油つくりを始めたわけですが、同じきっかけだったのに著者の方のラー油の極め方と言ったらね、自分という人間の浅さを知りました。
っで、肝心の生辣油はトウガラシが乾燥していないので未だに作れていないのでどんなラー油か謎のままだったり。
しかも、3ヶ月位は熟成させないとダメなようで結果を知るのはまだ先のお話。
それにしてもラー油で一冊ってのは凄いな。

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遠藤さんには3年連続で選書していただいています。毎回選書のセンスに唸り、コメントに笑い、実は一番楽しみにしているのは私です!(笑)

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34. OMONMA TENT
http://omonmatent.webflow.io

「小倉百人一首」 -93
藤原定家が選んだ和歌集。文庫本でも多数出版されていて、手軽だが、いずれも現代語訳,語注、鑑賞、出典、作者伝等の解説と最古の歌仙絵で構成されている。当時の姫君や公達の生活を想像しながら好きな歌人や和歌を拾い読みするのも良し、全体の構成を再確認し、自身の記憶力を試すことも可能。お正月に家族で「かるた」を広げてみるのも楽しそう。

絵本:「ちいさいおうち」作・絵 バージニア・リー・バートン 訳 石井桃子 -94
私は絵本が大好きです。先日、ある方の素敵なおうちへ行ったら、この絵本が本棚にありました。私も大好きなこの本に出会ってうれしくなりました。どのかな田舎に建てられたちいさなおうち。季節の移り変わりと共にのどかな時間が流れていきます。しかし、時が経ち、どんどんまわりの環境が変化していくなかで、そこに存在する辛さを感じるのですが、最後にはまた安心できる場所で時の流れをスタートさせることができるお話です。冬の季節の変わり目に、ふと家の外のを見ると、このお話をなぜか思い出します。

「ドラえもん (0巻)」てんとう虫コミックス 藤子・F・不二雄 -95
この原稿を書いているいま、まだ出版されていませんが、この冬、絶対に無視できない一冊。あまり知られていませんが、第1話は小学館の6雑誌にそれぞれの対象年齢にあわせて描きわけられました。それらをまとめたもの。当時のままのカラーで掲載されるとのことなので、しっぽが赤くないドラえもんも見られるはず。でも700円(税抜)、こどもには高くないかしら。

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僕らにとってなくてはならない存在。日曜の仕事を終えて車飛ばして橋を渡って食事と会話と展示に癒されに。駐車スペースに車を入れるのも上手になりました。(拓)

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36. 松田昌江
ノースレイクカフェ&ブックス
社長と呼ばれています

「いま生きているという冒険」石川直樹 -96

「BOSO DAYLY TOURISM 房総日常観光」沼尻亙司 -97
 
この2冊を選んだのは今年、ノースレイクで初めての写真展の企画をしている時に私の中で核になったからです。「房総日常観光」は写真展の主役である沼尻さんの著書であり展示のイメージはこの本から多く選出しました。そして沼尻さんも私も石川直樹のファンであり直近の写真展「この星の光の地図を写す」を見て沼尻さんに写真展をやってほしいと説得しました。私たちの日常と非日常を写真と文章でつなぐお二人に共通の思いを感じたからです。まったくのゼロからはじめた自主企画、大変な事もあったがこの写真展をきっかけに小さな光がつながり始めている事が何よりもうれしく感じています。

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自主企画の写真展、いい形で終えることができて本当によかったですね!今までこうしたイベントでは見られなかったリーダーシップを発揮していて驚きました。今後も期待しています!(拓)

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35. 松田拓巳

ノースレイクブックス代表


元々、読書量の少ない本屋なのですが、ア○ゾンプライムの海外連ドラに手を出してしまい、ビンジ・ウォッチングに時間を費やし、今年はさらに読書量を減らしたのであります。そんな中でイッキ見ならぬ、一気読みできた2冊を。



「愛についてのデッサン」野呂邦暢 -98

父の死により家業を継ぐことになった古本屋の若き主人・佐古啓介が、古本の影に見え隠れする恋愛感情や人間模様を解きほぐしながら旅をするという体の青春小説。古本を取り扱う者の端くれとして、買取を依頼してきた方とのやりとりや、本に残る様々な痕跡に、隠されたドラマを妄想することがあるが、この稼業の醍醐味のひとつだったりする。

「東京風人日記」諏訪優-99

諏訪優さんと言えばたいていの方は、アレンギンズバーグの詩集の訳者だったりビートニクを日本に紹介した人として認知しているわけだけど、女子大生と駆け落ちしたりする詩人でもある。愛すべきダメ男が「人間がこの世に生をうけ、愛や苦悩を体験しながら生き、やがて死んでゆくという無常」の中で日々のことを綴ったもの。風呂でこれをぱらぱらと頁をめくり、ベッドに潜り込む前に自分の日記を書くというルーティンが心地よい。



番外編:ビンジったドラマの中から、オススメを。作り込みがすごかったのが「クォーリー」、衝撃のラスト「シャープオブジェクツ」、一見刑事物だけど実は恋愛ドラマ「刑事ジョン・ルーサー」などなど。現在「シカゴファイア」で”人間”を勉強中。

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毎年夏に発行していた「99冊」を読書にぴったりな冬にしてみたけど大成功ですね。編集お疲れ様でした、明日からは次回の人選ですよ〜(昌)

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